天然記念物や巨木等の紹介

樹木への旅 7月 阿蘇神社のシイ

東京都羽村市

関東地方で一般的にシイノキと呼ばれている木は、そのほとんどがスダジイです。

そのスダジイは、老木になるほど枝々を横に伸ばし、入道雲がモクモクと盛り上がったような樹形になります。 その姿は1本で森を連想させるに十分です。そして、その重厚で荘厳な雰囲気は神社や寺院によく似合います。

家にあればけに盛る飯を 草枕旅にしあれば椎の葉に盛る

 これは万葉集に出てくる有馬皇子の有名な歌です。心細い旅の途中で出会った椎の老木。 その木の持つ温かさ、包容力、そして力強さは、旅人の疲れをいやし、やすらぎをあたえたことでしょう。 昔から椎の木は人々の生活に溶け込み、深い関係を持っていたようです。

東京都指定天然記念物の“阿蘇神社のシイノキ”は、多摩川沿いにある阿蘇神社の御神木です。 崖の淵に生育する樹令1000年を超える古木です。 台風などで幾度となく枝が折れ、幹の太さからすると極めて小さな樹冠となっています。 そして、崖淵に生育していることで、根元から成長した大枝は斜面に沿って垂下しています。 また、かつては水平に十数m伸びた大枝がうねる特徴的な樹形を保っていました。 しかし現在ではその大枝は枯れ、幹から多くの萌芽枝が成長して、新しい樹形を作り始めています。 幹内部は空洞化し、傷だらけの幹ですが、樹皮は健全で若々しい顔をしています。 これから先永い年月を、表情を変えながら生き続けるのでしょう。

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緑の総合病院 院長 神庭正則

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