天然記念物や巨木等の紹介

樹木への旅 2月 幸神神社のシダレアカシデ

東京都西多摩郡日の出町

 古びた幼稚園から聞こえてくる子らの声を聞きながら杉木立の中を行くと、小さな盆地状の土地の中、畑と納屋が目に飛び込んできます。 冬景色の中でそこだけは、周囲の斜面から光の粒が転げ落ちて底に溜まったかのようにキラキラと眩しく、子供らの声もそこで踊っているかのような陽だまりです。

“幸神神社のシダレアカシデ”はこの場所を見守るかのように、杉木立の終わりの斜面にひっそりと立っています。

「アカシデノ完全ナル枝垂トナルモノニシテ繊細ナル枝條ノミナラズ太キ枝モ亦其基部ヨリ屈曲シ螺旋状ニ捻ジレ・・・・全国唯一ノモノナリ」

昭和17年にこの木を国指定天然記念物とし、その特異性を表現した文章です。 樹令700年以上と言われていますが、決して巨木ではなく、また目立ちもしない。 アカシデという木は昔から床柱などに利用されてはいますが、普通雑木として扱われ、多くは薪になっていた木です。 指定以前何百年もの間、伐られることもなく、よく生き残ったものです。 この山深い人里で土地の人々に愛され、ひっそりと手厚く守られてきたのでしょう。 その昔、この木に登って遊ぶ子らの姿が目に浮かびます。

img_natural_tabi02_01

緑の総合病院 院長 神庭正則

このページの先頭に戻る